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※こちらの作品には未成年者への虐待と親の自死についての描写があります。
あらすじ
“普通”に違和感を感じる大学生・立輝と
“普通じゃない”まま生きてきたフリーター・愛瑠。
まるで映画のような、運命的な再会BL
読了後、描写がずっしりと脳裏に焼きつき、しばらくボーっとしておりました。
愛瑠の“自分の感情に鈍感で目を離したらスルスルとどこかへ行ってしまう危うさ”が不安だった。
読み進めるうちに、愛瑠が被虐待児であることを知った。
母親の顔色をうかがってオドオドし、失敗を恐れる。
そんな、遊びやユーモアとは無縁の生活に一筋の光が差した。それが立輝だった。
初めて知る遊び、感情、一緒に映画を観た日。休まらない日々の中で、微睡むようなその時間が愛しかった。
映画と同じように、立輝は陰りある日常から連れ出してくれる存在だった。
愛瑠の母親が自殺をしてから月日が経ち、愛瑠は施設に預けられた。お互いが成長するまでは一度も会わなかった。それでも立輝の声を思い出して、懸命に生きる愛瑠。再会したとき、わたしも嬉しい気持ちになり、良かったねと思った。
お互いがこの人と一緒にいる時間が続けばいいのにと思っていて、でもそれを伝えられず。立輝を求めすぎるのを恐れて愛瑠が連絡を断ったとき、言葉にする難しさを痛感した。
2人の関係性は一種の共依存だなと思った。
愛瑠がたまたま入ったセーファースペースのような場所で知り合った人に自分の生い立ちを話した時、「愛瑠は虐待の被害者であること」「死ぬことを決めたのは母親であること」を言葉として初めて説明され、そこでやっと呪縛が解ける。
その瞬間を読んだとき、なんかこれ救いじゃないですか?と思った。
今まで自分と相手の世界で完結してたけど、周縁に目を向けたとき、セーフティは他にもあったんですよね。逃げ場所は他にもあったっていい。増えたっていい。
映画だって、2人の逃げ場所だもんな。
わたしは共依存に懐疑的なのですが、この作品は周縁の人たち、いい方向に変わる家族が描かれていたので希望が持てました。
気持ちがどん底に沈んだとき、また読みたくなるかも。